擬人化の話

「写真撮ったの？まさかあのチャイナ服で？･･･頑張るね、弟くん」
「･･･」
「や、肩に手なんか置いちゃって、まー。なんつーか甘々で砂糖吐けちゃいそうな」
「･･･」
「これ焼き増しして二人にあげるんでしょ？大変だねぇ失恋したら、あはっ」

「でも結局追いかけないって決めたのは自分なんでしょ。それならこうやってうじうじするのは違うと思うよ。･･･そりゃ悪いのは向こうだね、１０割ね。だけどあの子はもう戻ってこないよ、きみの求める意味では絶対に戻ってこない。･･･わかってやってるから唯は性質が悪いんだけどね」

「･･･うん」
「もう黒にしちゃいなよ、めんどくさいよ。このままは。しんどいよ」
「解ってる、･･･けど」
「うん、そんな中途半端な気持ちで黒に応えたくないとか言うんでしょうまたきみは。わかんなくもないけどさ。でももうそんなこと全部一旦忘れて、普通に黒を見てあげなよ」
「･･･」
「出雲さんにしても黒のことにしても僕のことにしてもそうだけどさ。べつに唯の一番がデロだってことを否定してるわけじゃないんだよ？で、二番目が出雲さんで次が僕なんでしょ？自分で言ってたね。だからべつに僕はそれが悪いとか言ってないんだよ、好きなのも崇めてんのも勝手だよ。好きにしなよ。･･･そうじゃなくて唯、今僕は黒の話をしてるんだよ」
「･･･、うん」
「べつに僕、あんな奴のことなんか好きじゃないけどさ。それでも多分あいつがきみを好きな気持ちはふつうに真っ直ぐなんだよ。だからデロのことで引っ掛かったまま答えを出してあげないのは両方が辛いよ。そういう話。だから、きみには答えを出してほしいんだよ。きみを好きだった一人として」
「うん」
「正直僕を選んでほしいとかそんな気持ちが無いわけではないよ？誤解しないでね。僕がジアのこと好きになってもジアが僕のこと好きになっても結局僕の一番はきみなんだろうから」
「うん･･･」
「･･･だからね。いつでも帰ってくればいいからさ。出雲さんのとこでも僕のとこでも泣ける所いっぱいあんじゃん。ね？深く考えないで気楽に言ってみればいいんだよ、付き合ってみても良いって」


「･･････ごめん、奏枇」
「うん。･･･でもまあ、ありがとうの方が、いいかなぁ」
「･･･ありがとう」
「どういたしまして、親愛なる愛宮」