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平成19年7月2日設置。



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寝坊したよ!弟の参観は見事にすっぽかしました。やったね!(×)三池さんから電話があったあと普通に無意識で二度目してたとか・・・桐井・・・!気付いたら午後だった。あーあ・・・は、ハハハ

三池さんもしかして今日か!がんばれ!


続きからこの一週間だらだら書いてた英米のような米英のような英+米のような不思議なssをふたつ。日も出てます。ベタ甘とかそういうのは無い。はず。CP要素がまったくないので無理矢理襲わせようかとも思いましたがハードルが高かった・・・イギが動かしづらい!日楽しい!


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「・・・」
無言が部屋を支配している。息苦しい。一刻も早くこんな部屋から出て行ってしまいたい。切実に願う。アメリカと二人きりだという状況、外には雨が降りしきり俺の気分をさらに降下させていた。ああ、よりによって、雨だなんて。さいあくだ。雨は、嫌い。あの日のことを思い出すから。なんて子供みたいなこと言ってられるのは俺じゃなく、アメリカくらいしか許されない事だけど。
言葉を発しようとする気には、ならなかった。というよりなれなかったという方が的確だろうか。何にせよ俺は扉の前で突っ立ったまま、アメリカはソファに座って人形みたいな無表情で虚空をみつめている。焦点が定まっていないから、何も見ていないのかもしれないけれど。アメリカのこんな表情を見るのは初めてではないがそう何度も機会があったわけではない。元々アメリカの感情表現はストレートすぎるくらいに直感的でむき出しで鋭いのだから、こんな風に抑圧された表情だなんてそうそう見れたものではないのだ。
「アメリカ」
唇をなぞりながら、名前を呼んでみる。名前。馬鹿げていると思わないわけではないけれど、アルフレッド、だなんてアメリカのことを呼ぶ気にはなれない。
ゆるりと顔が上がって、ビー玉みたいにくるりと丸い水色のおもちゃのような瞳がこちらを見つめる。焦点が、定まらない。お前は何を見ているんだ?問い質してみてもよかった。だけど俺はそれをしない。つくづく甘いな、と思う。
「何だい」
平坦な声が返ってきた。感情が、汲み取れない。こんなのはあいつの声ではない。もっと冷たいか、明るいか、笑みを含んでいるか怒気がこもっているかのどれかにしかアメリカの声は該当しない。なのになんだこの声、おまえ、どうしたんだよ。
何があったんだよとは聞けなかった。何も、聞く権利が、無かった。
言葉を必死で探す。ただ呼んでみただけだとは死んでも言いたくなかったのでただ無駄な抵抗とわかっていながら言葉を、捜す。捜すのだ。見えなくなったものを。
「おまえ、」
ああ、何てやっかいなものだろう。言葉なんか、この皮膚なんか介さずにこの気持ちを伝えられはしないのだろうか。好きも愛してるも嫌いも違う。何も合わない。
ひとつピースを失くした、程度ではないのだ。そんなレベルにヤワじゃない。
俺たちには何もかもが足りず、そして、余計なものばかり持っていた。
「泣かないのか」
ぼろり。無様な水が頬をすべる。今更世間体やら何やらを気にしている自分はまるで馬鹿みたいだった。泣いているのは、俺。泣けないでいるのは、おまえ。昔とは真逆で、何もかも違う。だけど俺とアメリカは変わらずふたりぼっちだった。
なんだ、まるで道化じゃないか。
「・・・イギリス」
水色の瞳が、戸惑うように揺れる。やっと焦点が定まった。アメリカは立ち上がり俺の前に立つ。顔には、露骨に戸惑いが刻まれていた。そうだよ。それがおまえだよ、アメリカ。やっと思い出したのかよ。
「泣けよ」
「きみ、」
「いいから」
「・・・そんなこと」
そんなこと、無理だよ。困ったような笑顔だった。アメリカはよくこんな笑顔をする。似合わないくせに、一人前に誤魔化すことを憶えやがって。なんて言葉を使ったら日本が怒るだろうか?日本はよく、フランスに対して「アメリカさんにそんなこと吹き込んじゃいけません!」とか何とか、説教していたから。
関係ないことばかりが頭の中を巡る。
「アメリカ」
もう一度だけ名前を呼んだ。右腕を掴んで引き寄せる。だけど触れることはできなかった。少しだけ目線を上げて、見上げて、はじめて水色の潤みに、気付く。
「泣けよ」
もう一度。同じことを繰り返して何になるのかなんて知らないけれどそれでもアメリカが泣けるようになるのならなんでもよかった。高望みか傲慢か知らないけれどそんなことはどうでもいい。まるで関係のないことだ。
息苦しさはとまらず雨も止む気配が無い。止めばいいのにと思いながら、止まなければいいのにとも思っていた。二律背反が左胸をくすぐる。
アメリカは僅かな震えを押し隠しながらゆっくりと深呼吸をした。そして、
「・・・っ」
そうだよ。それでいい。
もう一度泣いて、その後のことはそれからでも構わないだろう?何しろ二人にはありあまるほどの時間がある。決別も、出会いも、自分達で決めれば良い。雨は変わらず振り続けていて、それはアメリカの涙に似ていた。透きとおる青。群青、灰色と、折り重なり雑ざってゆくイレギュラーの水色。再び無言が部屋を支配し、俺とアメリカは黙って泣いた。出て行きたいとは思わなかった。
その後のことはそれからでも構わないだろう。
近付くも遠のくも、すべて俺たち次第なのだから。

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「なあ、日本」
アメリカさんは湯のみを緩慢に円を画くようにくるりと回し、中の緑茶が回る様子を楽しげに見つめている。そんなことしたら行儀悪いですよ、と、言葉だけなら出かかったものの言うのはやめておく。なんだか、そんな気分ではなかったのだ。アメリカさんを注意して、彼がちょっと申し訳なさそうな顔をして「ごめん、そうなのか日本、知らなかったよ」というのを聞きたくなかった。
「何ですか?」
「前に君は、たしか俺に緑茶も紅茶も中国茶ももとは同じだって話をしてくれたと思うけど、そうだったよね?」
「ああ・・・、しましたね、そんな話」
ぱっと表情が明るさを増す。
「この間中国に勧められて初めて飲んだんだ。中国茶。それで思い出した」
「へえ。それはいいですね。どうでした?」
一拍置いて、困ったような笑顔。だけど曇ってはいなかった。こういう笑顔を見ると、イギリスさんに育てられたとはいえやっぱり違う人間なんだなあという実感が湧き上がる。いや、なんだか、この笑みとイギリスさんはどうやっても結びつかないものだし、それに何というかアメリカさんにも不似合いなのだ。
「美味しかったよ。美味しかった・・・だけど」
湯のみを持ってないほうの手を口にそえ、彼は穏やかに笑い声をもらした。こういう時の仕草なんかは、多分私からうつっているのだと思う。
最近のアメリカさんは、私が知らない表情で、くるくると笑う。
「ちょっと、勿体無いかな、って。これをべつのやり方で処理したら紅茶になると思うと、やっぱり俺には紅茶の方がいいやって思ったぞ」
「アメリカさんらしいですね」
「そうかい?そうかな。でもそうなのかもしれない」
くるくる。湯のみはまだ緩慢な動きでゆっくり動かされている。穏やかな笑顔。声と重なって、イギリスさんの背中を思い出す。独立記念日のあの日の背中。
アメリカさんの笑顔。
イギリスさんの苦悩。
「そういえば、イギリスさんは中々好みだって仰ってましたよ、中国茶」
ふと思い出して、そのまま口に出してみる。
アメリカさんは暫く一時停止したあと、非常に複雑そうな色にぐるぐると瞳の奥の色を変化させ続けながら、全く持って真意の読めない(ように見せた)表情で、
「へえ、あのイギリスが?意外だなぁ」
繕った。こちらこそ、へえ、という気分だ。アメリカさんでもこんな表情を、声をする。取り繕ったりうろたえたり嫉妬したりする。少し考えればそれは当たり前のことなのだけれど、何故か意外で、新鮮だった。
「でも、まあ、たまには飲みたくなるような味だったよ」
誤魔化すように笑うアメリカさんは、ちょっとかわいかった。

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