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平成19年7月2日設置。



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シュメルツ 
ボーマンダ♀。被迫害児。なんだかよくわからない医者に拾われました

クラヴィーア(Klavier)
原形未定。紫出身医者見習い。ぼろぼろの女の子を拾いました




「・・・なんで俺のこと拾ったんだ?」
ふかふかの毛布に見下すような視線を投げながら彼女はそう言った。怨むような声でも、意地を張るような声でもなく、ただ話題が無いので言ってみました、みたいな無気力な声をしていた。
「嫌だった?」
カマかけてみた。
「んなこたねーけど。知ってるんだろ、お前。俺を拾えば自分がやられるかもーとか、思わなかったのかよ」
わりと真面目に切り捨てられてしまう。知ってるんだろ、といいながら名詞を出さないのが性格出てて面白い。
しかしこの子は僕のことを一体なんだとおもっているのかな。あんなぼろぼろな格好で行き倒れている幼い女の子を見て捨て置いていけるほど冷たいやつが、医者になれるとも思わないし。
あとは少し、興味もあったりなかったり。
「思わないよ。あの人たちは結局きみの力を疎んでいたんだよね、そしたら逆に見えないところに逃げちゃうのは好都合なんじゃないかな」
「・・・ああ、かもなあ」
彼女はただ納得したように頷いた。質問の答えになってないことには気付いているんだろうけど、あえて聞かないのもこの子の性格、なのかな。


「へえ。クラヴィーア、かあ」
メルツは楽しそうに僕の名前を呼んだ。
「きれいな名前だな。意味、俺にはわかんないけど、いい名前だ」
そういや自分の名前の事は「こんなのは単なる呪い名だ、くだんねえ」とか言ってたな。
名前、結構メルツのなかでは重要なんだろうな。・・・シュメルツって痛みとか苦しみとかいう意味だから、呪い名として十分に機能するだろう。その名をつけた親の心情を想像しようとして、諦めた。
「意味、ピアノっていうんだよ。よく考えると子供にピアノなんて名前つけるのも変だけどね」
笑ってみると、メルツはちょっとむっとした顔をする。
「んなこたねーよ、いい名前だよ。ピアノってあの大きい楽器のことだろ。十分素敵だし、似合ってる」
・・・んー、そんなストレートに褒められるとちょっと照れるな・・・。
「クラヴィーア」
思考がメルツからそれていたとき、急に名前を呼ばれる。メルツの顔を見ようとして、それが目の前にあったことに純粋に驚いた。顔があつくなり、血の気があつまってくるのがわかる。
うわああ、やっばい。何歳年下だ、相手えらぼうよ僕。これじゃロリコンの誹りを免れないし。ていうか顔がもどらないし。あとメルツ顔近い!
半パニック状態の僕を気にもとめない、メルツの右手がのびてくる。
ひやり、冷たいちいさな手が、左頬にぴたりとふれた。
「顔、真っ赤だぜ」
・・・メルツ、それ、殺し文句っていうんだけど。知ってる?



「悪い。5分、ここで待っててくれないか」
そう言ってシュメルツは小屋のほうへ駆けていった。音を立てないようにドアを開き、すべりこむように部屋の中へ。机の上のクラヴィーアのメモを引っ繰り返し、傍に置いてあったペンをとる。
数秒、文面を考えた。すぐに放棄した。永遠の別れじゃないんだ、凝った文を書く必要も無いだろう。
ただ、すこし、伝えたかったのは。
拾ってくれてありがとうという感謝と。余計なことしてくれたよなという呆れと。
ほんの少しの、愛おしさ。
「・・・いいか、別に、会いにこれないわけじゃない」
呟いて、至極簡潔な単語を並べて手紙を書く。クラヴィーアはこれを見てどう思うだろうか。寂しがるのか、追いかけてくるのか、或いは案外ドライな奴のことだからすっきり忘れてしまうかもしれない。どちらにしろ、彼に託しておこうと思った。
父親に対する尊敬も、兄に対する憧憬も、恋人に対する愛情も当てはまらなかったから。
この不思議な暖かさは、この手紙とともにクラヴィーアに託しておこう。
「さよなら」
いつ自分の命が尽きてもいいように永遠の別れの冗句を呟いた。
俺はお前のことが好きだったのかな。
ごめん、とか、言うべきだったかな。

「・・・ごめん」

届くはずも無いのに言ってみた。
からっぽな言葉だと、思った。




「クラヴィーア 
 紅の国王に誘われた。いつまでもお前の負担になってるわけにも行かないから行く。
 国境を出入りしたいときは俺の名前を出せば通してくれるらしいから好きに使え。
 一応今までの恩ってことで・・・ いや、足りないか。悪い。
 じゃあお互い息災で。


 追伸
 会いたくなったら来る。
 お前さえその気なら紅にお前の椅子はあるみたいだぜ。」




うーんクラの性格が・・・びみょう・・・もっと気弱でもいいかな
最終的に親子に落ち着きます(・・・
恋人は絡みつくらせていただきたいんだぜ・・・!!!

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